POF法とは?効果的に筋肥大するトレーニング理論を解説
POF法(Positions of Flexion)は筋肉を3つの異なる刺激で鍛えるトレーニング理論です。筋肉は与える刺激を変えることでより成長が加速しますが、トレーニングの種目毎にどのような属性の刺激であるかを3パターンに分類したのがPOF法です。文章で言うとなかなかにわかりにくい表現になってしまいますね(笑)
すごく端的に言うとトレーニングの種目はどんな種目でも以下の3つのどれかに該当し、この3種類のトレーニングをバランス良く組み合わせると筋肉が成長しやすいと言う理論です。
- ミッドレンジ種目: 筋肉が伸びても縮んでもいない中間の状態で最も力を発揮するエクササイズで、他の種目よりも高重量を扱います。例えば、胸筋の場合はベンチプレスが該当します。
- ストレッチ種目: 筋肉が伸び切った状態で筋力を最大に発揮する種目です。胸筋の場合、ダンベルフライなどが該当します。
- コントラクト種目: 筋肉が最も収縮した際に最大の力を発揮する種目す。胸筋の場合、ケーブルクロスオーバーなどが該当します。
POF法の重要性と効果
POF法の最大の利点は、色んな筋繊維に包括的に刺激を与えられるという点です。例えばミッドレンジ種目で与える刺激だけでは動員される筋繊維が限られ、ストレッチ種目でないと刺激できない筋肉が十分に発達して行かないという事が考えられます。POF法は3種類のトレーニングを意識的に組み込むことで色んな筋繊維を刺激し、より多くの筋肥大を狙うトレーニング法です。
POF法はトレーニングのバリエーションを増やすことができます。同じエクササイズを繰り返すだけではなく、異なる角度から筋肉を鍛えることで、トレーニングが単調になるのを防ぎ、モチベーションを保つことにも繋がります。
POF法は筋肉のバランスを保つのにも役立ちます。特定の刺激のみで筋肉を鍛えると筋肉のバランスが崩れ、怪我のリスクが高まる可能性があります。
逆に言うと色んな刺激で筋肉を鍛えると、それぞれの筋肉が補助的に働き怪我をしにくくなります。
しかし、POF法では筋肉の全範囲を均等に鍛えることができるため、筋肉のバランスを保つことができます。
以上のように、POF法は筋肉の成長を最大限に引き出し、トレーニングのバリエーションを増やし、筋肉のバランスを保つための効果的なトレーニング方法です。次のセクションでは、背中、胸、肩を鍛えるためのPOF法の種目一覧を提供します。
POF法 部位別のトレーニング種目一覧
部位別のよくあるトレーニング種目をPOF法に分類しました。
部位 | ミッドレンジ種目 | ストレッチ種目 | コントラクト種目 |
---|---|---|---|
胸 | ベンチプレス ダンベルプレス | ダンベルフライ プルオーバー | ケーブルクロスオーバー マシンプレス ペックフライ |
背中 | 懸垂(チンニング) 加重チンニング ベントオーバーロウ デッドリフト | ワンハンドプルダウン プルオーバー | ラットプルダウン マシンロウ |
三角筋前部 | ダンベルショルダープレス バーベルショルダープレス | アーノルドプレス | フロントレイズ |
三角筋中部 | なし | インクラインサイドレイズ | サイドレイズ ライイングサイドレイズ ケーブルサイドレイズ |
三角筋後部 | なし | ライイングリアレイズ | リアレイズ リバースペックプライ |
腹筋 | レッグレイズ (やり方によってはストレッチ種目) | アブローラー ドラゴンフラッグ | クランチ マシンアブ |
上腕二頭筋 | ダンベルカール バーベルカール | インクラインダンベルカール | プリーチャーカール ケーブルカール |
上腕三頭筋 | ナローベンチ ディップス | フレンチプレス スカルクラッシャー | キックバック トライセプスエクステンション |
大腿四頭筋 | スクワット レッグプレス ハックスクワット | シシースクワット ハックスクワット フロントスクワット | レッグエクステンション |
ハムストリングス | スクワット レッグプレス デッドリフト | ブルガリアンスクワット ランジ ルーマニアンデッドリフト | レッグカール |
大臀筋 | スクワット デッドリフト | ブルガリアンスクワット ランジ ルーマニアンデッドリフト | ヒップスラスト |
POF法を取り入れた具体的なトレーニング例
POF法を意識したトレーニングの組み方としては以下のようになります
- ベンチプレス 10回×3セット(ミッドレンジ種目)
- ダンベルフライ 10回×3セット(ストレッチ種目)
- ケーブルクロスオーバー 10回×3セット(コントラクト種目)
このように1日にトレーニングする際の種目をPOF法のミッドレンジ種目、ストレッチ種目、コントラクト種目から1種類ずつ選んで実施します。一般的なやり方としては高重量を扱うミッドレンジ種目から行う人が多く、僕自身もこのような組み方をする際はミッドレンジ種目から実施することが多いです。
ミッドレンジ種目は高重量を扱い、かつかなり疲労する種目なので最後の1種目に入れてしまったりすると力が発揮できなかったりします。
種目数を4種目、5種目と増やすような場合はPOFのどれを入れても良いのですが僕のおすすめはストレッチ種目です。
上記は胸トレの場合になりますが、同じように背中トレ、肩トレ、脚トレなども前述した種目一覧にあるものから選ぶことでPOFを意識したトレーニングになります。
POF法の起源と根拠

POF法はトレーニーなら皆さん知っているボディビル系雑誌「Iron Man」紙の編集者スティーブ・ホルマン氏が提唱したトレーニング理論です。僕自身、POF法はしっかりと研究されたトレーニング方法で研究論文なんかも充実しているようなイメージがあったのですが少し調べた限りPOF法が効果的だと言う客観的な論文やエビデンスはありませんでした。
しかしながら筋トレ研究といえばのブラッドシェーンフェルド博士の研究で同じような理論が筋肥大に重要であることが示されているのでPOF法と言う異なる3つの刺激与えるトレーニングが効果があることは間違いなさそうです。
シェーンフェルト博士の研究では機械的緊張、筋肉の損傷、代謝ストレスの3つが筋肥大に効果がありそうだといっています。これはそれぞれ以下のPOFにおおよそ当てはまります。
機械的緊張・・・ミッドレンジ種目
筋肉の損傷・・・ストレッチ種目
代謝ストレス・・コントラクト種目
英語になってしまいますが論文の詳細が気になる方はこちらからみてみてください
It has been shown that many factors mediate the hypertrophic process and that mechanical tension, muscle damage, and metabolic stress all can play a role in exercise-induced muscle growth.
The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20847704/
また、僕の個人的な経験からは”ストレッチ種目”が最も筋肥大には効果があると体感しています。
と言うのも色々な種目を筋トレに組み込み、実践してきましたが特に反応がよく取り入れることで筋肉が大きくなったと感じた種目、体感できた種目はストレッチ種目が多かった為です。
僕はよく大胸筋の発達が良いといろんな方に褒めていただくのですが、筋トレ3年目以降ダンベルフライがメイン種目でベンチプレスは気が向いた時や気分転換にやる程度になっています。
肩や背中の種目もストレッチ種目を意識的に多めに、高強度にするようになってから目に見えて発達した実感があります。
バランスよくいろんな刺激を与える、という前提がある中での話になりますがストレッチ種目をあまり取り入れていなかった人はぜひ試してみてください。
まとめ
この記事では筋トレ理論の一つであるPOF法についての解説と具体的なトレーニング種目、そして僕の経験をもとにした種目の組み方についてをお話ししました。
トレーニングの反応や良し悪しは個人差が大きいものです。色々なトレーニングを試してみて新しい刺激を筋肉に与えていきましょう!